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| ボッティチェルリ 「ヴィーナス誕生(部分)」 |
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| シモーネ・マルティーニ 「受胎告知誕生(部分)」 |
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| デューラー 「使徒の手(部分)」 筆によるデッサン |
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| マンテーニャ 「死せるキリスト(部分)」 |
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| ボッティチェルリ 「春(部分)」 |
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| ヴァン・エイク 「アルノルフィニ夫婦像(部分)」 |
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| エッグテンペラメディウム |
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| テンペラ・グラッサメディウム |
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| T 膠水を作る |
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| U 板に和紙を貼る |
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| V 地塗りをする |
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| ■テンペラの語源は「混ぜる、調合する」 |
現在、多くの絵具がチューブ入りの「絵具」として簡単に手に入ります。これは18世紀ごろの産業革命に伴う技術革新のおかげです。では、それ以前の画家たちはどのようにして「絵具」を手に入れたのでしょうか?
絵具とは色を出す成分である「顔料」と紙やキャンバスなどの支持体に接着・定着させる役割の「展色剤(メディウム)」とを練り合わせたものです。
その昔、西洋の画家達は「絵具」を自家製造するのが当然でした。色のある土や岩などを細かくしたものや植物の汁などの色素を水練りしたものを、獣の骨などからとれる膠の接着剤や固着力のある黄卵で混ぜて絵を描きました。中世(11〜13世紀ごろ)のヨーロッパではこのようにして絵を描くこと全体をテンペラと言いました。その語源はラテン語の「テンペラーレ」で、「混ぜる、調合する」という意味です。黄卵などを利用した絵具で描く絵をのちにテンペラ画と呼ぶようになりました。 |
| ・・・→顔料ってなに? |
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顔料とは色を出す成分で、小さな粒子の色素です。顔料は水や油に溶けませんので、展色剤(画面に定着させる為の接着剤)と練って絵具を作ることができます。
顔料を大きく分けると、無機顔料と有機顔料とに分けることができます。
昔から使われてきた無機顔料(土、鉱物、合成の金属化合物などからつくられる)は、強い隠ぺい力と耐久性があります。天然のものからつくられる顔料は高価です。(日本画の岩絵具やコバルト、カドミウムなど)
土系のものは顔料の中では最も安価なものになります。
有機顔料は、石油化学合成からつくられる、種類、量ともに現在の顔料の大半を占めます。 |
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| ・・・→展色剤ってなに? |
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| 絵具は色素(顔料・染料)を展色材で練り作られます。展色剤は画面(紙やキャンバス)に色素を固着させる成分で接着剤のような役割を持ちます。展色剤は、絵具の性質を決定づけします。 |
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| ■水に溶け固まると耐水性になる絵具 |
テンペラ絵具は、アクリル絵具(水溶性ですが、展色剤に含まれる水分が蒸発(乾燥)すると残った樹脂分が重合し塗膜を形成し耐水性になる絵具)同様、水に溶けますが完全乾燥後、卵に含まれる油分が塗膜を形成するため耐水性になります。これは、水と油の性質をもつ乳濁液(エマルジョン)の性質をもつ天然のエマルジョン「卵」を利用するためです。エマルジョンとは液体の中に別の液体が混ざり合うことなく細かい粒状になって分散しているものを言います。水と油のように混ざり合うことない二つのものがエマルジョンを作るためには、乳化剤と呼ばれる物質が必要です。卵には乳化剤としての働きをもつレシチンが含まれているため天然のエマルジョンとなります。
卵白、黄卵、全卵のいずれも使用することができますが、卵白のみですと塗膜が脆いという欠点があります。黄卵、全卵に乾性油や樹脂などを混ぜることで展色剤(メディウム)のバリエーションをつくることができます。 |
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| ■ハッチング |
不透明の水溶性絵具であるテンペラ絵具を用いて絵を描くには、「ハッチング」とよばれる作画方法が有効な手段となります。ハッチングとは「陰影」と訳されるように、平行線やクロスラインなどの線のみで陰影を描きこんでいくことです。
テンペラ絵具は、絵具ののびが悪く、画面上での混色は容易にできるものではありません。また、重ね塗りの際の水分により下の色が溶けだすという難点もあります。このような制約の中から生まれた技法が「ハッチング」で、平行線を重ねたり、描く対象の形に沿って線を引くことで、明暗の諧調や量感を表現することができます。ハッチングには主に細い軟毛の筆が使われます。 |
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| ■絵画の中のテンペラ |
卵テンペラは13、14世紀のイタリアで新しい表現方法として広まりました。これは絵具を水で溶いて使用できることや乾燥後の耐久性の良さ、そして卵が簡単に手に入り、新鮮であれば良質の展色剤になることが理由です。15世紀のイタリア・ルネサンスには、シモーネ・マルティーニやフラ・アンジャリコ、ボッティチェルリ、マンテーニャなど数多くの画家によりテンペラ画の傑作が生まれます。画家達にとって、絵画とはテンペラ、フラスコ画を意味する時代でした。
板の上に純白の石膏地を施した支持体に描くテンペラは、美しい色彩と緻密な描写によって特徴づけられます。金箔を箔押しした黄金の背景の祭壇画には金箔、色彩、緻密な描写が結びつきあい清浄な世界を作り上げています。
しかし15世紀の末になると油絵具とキャンバスの研究が進み、次第に絵画の主流から外れていきます。利点を多くもつテンペラですが、油絵具のような独特のつやのある透明感を作ることは不可能でした。また、キャンバスの上に描くには柔軟性に乏しかったからです。しかし改良の試みも行われました。ボッティチェルリの「春」には、卵に乾性油を加えて絵具につやと柔軟性をもたらせるテンペラ・グラッサが使用されていますし、フランドル地方(今のオランダやドイツの地方)では、テンペラ絵具と油絵具を交互に重ねて描く「混合技法」で透明感のある色彩とテンペラの不透明な物質感でリアリティーのある作品が数多く制作されました。混合技法の完成者と言われるヤン・ヴァン・エイクやブリューゲル、デューラーなどによってすばらしいリアリズムの作品が生まれています。
19世紀になり、テンペラ画は美術の表舞台から姿を消しますが、20世紀になりパウル・クレー、ワイエス、カンディンスキーなどの作品にテンペラが使用されています。 |
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| ■エッグテンペラ |
テンペラ画に使用する展色剤(メディウム)を作ります。
展色剤は水で練った顔料に混ぜ練り合わせます。そして練り合わせた絵具を水で溶き描きます。
ゴムを展色剤として使用したものは「ゴンマテンペラ」、カゼインを展色剤として使用したものは「カゼインテンペラ」、卵を展色剤として使用したものは「エッグテンペラ」と呼び分けられます。その中のエッグテンペラはルネサンス期に頂点に達し絵画技法の主流とされていました。
ここでは黄卵テンペラの作り方をご説明します。 |
| 用意するものの一例 |
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| 1) 黄卵1個 |
| 2) 食酢 小さじ1杯(約5ml) |
| 3) 水 小さじ3杯(約15ml) |
| 4) 保存用のビン(広い口のビン) |
| 5) ビーカー |
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| 作り方 |
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| @新鮮な卵を割り、ビーカーの中へ白身を取り除きます。 |
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| B黄身の表皮を摘み上げ、保存用ビンの上で、黄身の底の部分をピンなど穴をあけて、中身を取り出します。 |
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| C小さじ1杯分の食酢と小さじ3杯分の水を加え、泡立てないよう静かにかき混ぜます。 |
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| ※ビンにいれ冷蔵庫に保存すると1ヶ月は保存できます。 |
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| ■テンペラ・グラッサ |
15世紀、テンペラの改良が行われ、卵の展色剤に油性分を加え絵具ののびを良くする処方が開発されます。
油を加えたテンペラ技法をテンペラ・グラッサと呼びます。
特徴として、エッグテンペラより絵具ののびが良くぼかしやグレーズも可能で、エッグテンペラに比べ堅牢です。また、油絵具との併用ができ緻密な描写ができます。エッグテンペラに比べると明度が欠けます。 |
| 用意するものの一例 |
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| 1) 全卵(黄身+白身)1個 |
| 2) 油性分 卵と等量(約50ml) ダンマルワニス:2 スタンドオイル:1 |
| 3) 保存用のビン(広い口のフタ付きのビン) |
| 4) ビーカー |
| 5) 水 適量(腐らないように絵具を作るときに適度に加える) |
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| 作り方 |
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| @新鮮な卵を割り、ビーカーの中へ。白身は保存用のビンにいれます。 |
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| B黄身の表皮を摘み上げ、保存用ビンの上で、黄身の底の部分をピンなど穴をあけて、中身を取り出します。 |
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| C黄身と白身の入ったビンのフタを閉じ、よく振りながら十分に混ぜ合わせます。この容量が展色剤全体の基準1容量となります。 |
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| D先程混ぜ合わせた全卵1容量に対して油性分1(ダンバルバニス:2 スタンドオイル:1)を加え、強くかき回してマヨネーズ状のペーストを作ります。 |
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| ※ビンにいれ冷蔵庫に保存すると1ヶ月は保存できます。 |
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| ■石膏地の支持体を作る |
テンペラ画を描く支持体作りをご説明します。
こちらで説明する方法以外にも、麻紙ボールド(下張りをしたボードに、ドーサ引きした麻紙を水張りしたもの)にジェッソ(炭酸カルシウムとチタニウムホワイトの顔料からできた純白の地塗り剤)を下地として塗ったボードも簡単な支持体として利用できます。しかし、大きいサイズのボードに描く場合、テンペラ絵具には柔軟性が無いため画面から絵具が剥がれたり、ひび割れする可能性がありますのでご注意ください。
麻紙ボールドを使用した支持体作りにはF6〜F8号サイズまでが適しています。 |
| ■麻紙ボールドのページへ |
| ■ジェッソのページへ |
| T 膠水を作る(石膏地にはウサギ膠、白亜地にはパール膠) |
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| 用意するもの |
| 1) 水100cc |
| 2) 膠 7g |
| ※膠水は水100ccに対して膠7gの割合でつくったものが基準となります。 |
| 3) ビーカー |
| 4) コンロ |
| 5) 割り箸 |
| 6) 湯煎用容器(鍋など) |
| 7) 雑巾 |
| 8) 温度計 |
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| 手順 |
| @冷水に膠を入れます。数時間放置すると、膠が水を吸って膨らみます。 |
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| A膨潤した膠を60℃以下のお湯で湯煎します。お湯を入れた容器の底に雑巾を敷き、全体が温まるようにします。この時お湯を沸騰させないよう注意してください。 |
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| B膠が完全に溶けると、お湯から出し、30℃くらいに冷やしてから使います。 |
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| C小さじ1杯分の食酢と小さじ3杯分の水を加え、泡立てないよう静かにかき混ぜます。 |
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| U 板に和紙または綿布を貼る |
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| 用意するもの |
| 1) 膠水 |
| 2) ベニヤ板 |
| 3) 和紙または綿布 |
| 4) 刷毛 |
| 5) サンドペーパー |
| 6) 雑巾 |
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| 手順 |
| @ベニヤ板の表面にサンドペーパーをかけ、汚れや樹脂分と除きます。 |
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| A板の表面、側面、裏に膠水を塗ります。 |
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| B完全に乾いたあと、軽くサンドペーパーをかけます。 |
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| C板の表面、側面に再度、膠水を塗ります。和紙または綿布をしわや気泡ができないように気をつけながら貼り込んでいきます。綿布の場合は板と綿布の両方に膠水を塗ってください。 |
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| D再度、表面に膠水を塗ります。 |
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| E約1日以上乾燥させた後、最後に軽くサンドペーパーをかけます。 |
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| V 地塗りをする |
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| 用意するもの |
| ●エッグテンペラを用いる場合 1:1の割合 |
| 1) 膠水 40cc 1容量 |
| 2) 石膏 45g 1容量 |
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| ●テンペラ・グラッサ(混合技法)を用いる場合 1:1:1:1〜2の割合 |
| 1) 膠水 30cc 1容量 |
| 2) 白亜 25g 1容量 |
| 3) チタニウムホワイト30g 1容量 |
| 4) 水60cc 1〜2容量 |
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| 刷毛 |
| ボール |
| サンドペーパー |
| ヘラ |
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| 手順 |
| @ボールの中に膠水を入れます。 |
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| A膠水と同量の白亜、チタニウムホワイトを少しずつ入れ、顔料に膠水が浸透するのを待ち、ヘラを使ってかき混ぜます。 |
| ※石膏の場合は石膏を入れた後泡立てないよう静かにかき混ぜます。 |
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| B混ぜ残したものがないかどうか確認をし、水(ぬるま湯)をゆっくり加え混ぜます。 |
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| C刷毛で1層目の下地を塗っていきます。気孔がないかを確認しながら均等に塗ります。この時気孔があれば指先で潰しておきます。 |
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| D1層目の塗り終わったのが濡れ色がなくなり半乾きになると、2層目の地塗りをします。2層目は1層目の塗りの刷毛の方向に対して直交するように塗ります。この要領で3、4層目と続けて塗ります。最低でも5、6回は塗りをしましょう。 |
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| E1日以上乾燥させ、サンドペーパーをかけます。 |
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